良いモノ選びは、人とつながり、世界を広げる。私が実践するお気に入りの見つけ方【スギアカツキ】

みなさんは自分が日常で使うモノを選ぶとき、どのようなポイントを大切にしていますか？　効果が実感できるもの、パッケージがオシャレであること、コスパが良いことなど、人によって重視していることは違って当然ですよね。私は周囲の人々から、そんなこだわり話を聞くのが楽しい時間でもありますが、ここでは私自身が普段から大切にしているモノ選びの観点や姿勢にまつわるお話をさせていただきたいと考えました。どうか気楽にお読みいただければ嬉しく思います。

まずは、シンプルに自分の心が動くものを大切に

少しでも美しくなりたい。その願いを叶えてくれるモノの一つに、化粧品やファッションアイテムがあります。しかしながら世の中には魅力的な商品があふれ、自分にとって確かな名品と出逢うことは簡単ではない時代が到来しています。

私はもともとお買い物が大好き。リフレッシュや自分へのごほうびのために店舗、オンライン問わずにショッピングを楽しんでいます。その中で、実際に使ってみて自分には合わなかった失敗、商品説明や口コミを見過ぎて悩んでしまった経験はたくさんあります。その時は、「あー、無駄使いしちゃったなあ！」とくよくよすることも……。

しかしながら最近では、それも自分の糧だと考えられるようになりました。これが年の功というものなのでしょうか(笑)、とにかく自分の決断、失敗、迷いをすべて自分らしさとして受け入れられるようになってきたのです。この境地になれたのには理由があります。それは、いつだって“自分の心が素直に動かされること”を重視してきたから。自分の直感で決めたものは、失敗しても大きな後悔にはつながらず、買い物賢者になるための良い経験だったと考えられるのです。ですからまずは、自分の感性を頼りに、買い物を思う存分楽しんでみることをおすすめします。

イギリスで「手延べそうめん」が大好評。その時に感じた充実感とは？

もう一つ、モノ選びをする上で、最近大切にするようになった視点があります。私は今年の夏、家族でイギリスを訪れました。旅の楽しみの一つとして、イギリス郊外に住むイギリス人家族の自宅を訪れる約束をしていました。その際に手土産として選んだのが、手延べそうめんと日本らしい香り（ハッカ）を使った入浴剤。それらを渡した時に、想像以上に喜んでくれたことが、私の心を満たしてくれる瞬間になりました。

手延べそうめんは、素麺の産地として有名な播磨の「揖保乃糸」をチョイス。はじめてそうめんを目にした友人のリアクションは、感動と好奇心でいっぱいでした。そして私は、「日本にこんなにもおいしい麺があったなんて！一体どうやって作るの？食べ方は？」と嬉しい質問攻めにあうことに。この時に気がついたのは、確かなモノを選ぶこと、日本を感じるモノを選ぶことで、人を喜ばせることができる。そのアイテムが持つ魅力を、自分の言葉で説明したり、自分の愛用シーンを話したりすることで、自分の知識や心が豊かになるきっかけにもなることに気がついたのです。

日本のハッカってやっぱりいいよね！　久しぶりに使ってみたら、夜の睡眠が深かったな！など、自分にとってもモノへの愛情を再確認したり、知らなかった魅力を発見できたりするきっかけになるのです。つまり、素敵なモノ選びは、ヒトと楽しくつながるだけでなく、自分の視野や知識、世界観を広げてくれるのです。このような経験を通じて、私はモノ選びをもっと柔軟に楽しめるようになりつつあります。自分を大切にするだけでなく、相手を喜ばせるモノ選びをしてみることで、自分を取りまくコミュニティに確かな温もりが広がることを実感しています。

モノを選ぶ姿勢は、子育てにもつながる

最後にもう一つ、私の育児エピソードをご紹介させてください。我が家には小学3年生のわんぱく男児がいて、試行錯誤をしながらも子育てに奮闘しています。息子との時間で特に大切にしているのが、料理。時間が取れるタイミングを見つけて、作りたい料理を決めて、子ども主導でチャレンジする時間は、親の私にとっても楽しいリフレッシュになっています。

先日作ったのが、イギリスの焼き菓子。中力粉の産地、発酵バターのこだわりなどを知るだけで、モノ選びのセンスを無理なく育むことができ、親子にとっていい時間を重ねていますが、この日はクッキングの途中で、あるサプライズがありました。

仕込んだケーキ生地をオーブンに入れて焼いている間に、私の髪の毛をとかしてくれるというのです。私が日頃から気に入っているヘアオイルとコームを両手に持ってきた息子は、リビングの椅子に私を座らせて、「美容タイムだよ、くつろいでね！」と言ったのです。慣れない手つきではあったものの、その一生懸命な気持ちは、育児の苦労が報われる最高のプレゼントになりました。

ヘアオイルもコームも自分の好きなアイテムを愛用していますが、子どもがそれをちゃんと見ていることにも驚きました。日常におけるモノへのこだわりは、育児にも良い影響を与えてくれることがありますね！

＜プロフィール＞

食文化研究家
スギアカツキ
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